社長歴18年の筆者の知見を共有するコラムの第16回となります。
前回はこちらになります
【社長連載】シーシャ屋開業について 第15回 シーシャ屋のM&A 事業譲渡 事業承継 買収 売却 について
半年以上このコラムの更新が滞ってしまったことをお詫びいたします。
成功と失敗を繰り返しながらも18年生き延びている私の知見を共有したいと思います。
これから書き述べることは、シーシャ屋を一人または夫婦、家族経営する場合を推奨しております。
1:開業資金について
精神的には余裕の資金が欲しいところですが一番は自分でコツコツ貯めた資金が一番です。
融資や投資に頼ると金に、出費に対する考え方が甘くなります。シーシャ屋は日銭が入るため
すぐに儲かった錯覚に陥り散財したり勤怠が悪くなり失敗する人が多いのです。
買掛金をすべて支払い(公共料金などは月ずれで請求されます)、減価償却を考慮し、
投下した元本をすべて回収してからが本当の意味での儲けです。競合の出現や、コロナ、震災などの
思わぬ時代の変革で一寸先は闇です。すべてに備えて貯蓄していく姿勢、積み立てしていく慎重さ
現金の出納を管理する姿勢が身についてようやく融資の土俵に乗れる人柄の経営者といえます。
2:シーシャ屋とはどんな商売なのか
手始めは資金も少ないでしょうから比較的シンプルな現金商売が理想です。
シーシャ屋はこれに当てはまります。ただビジネスモデルはシンプルでもシーシャは奥が深いものですから
常に探求すう気持ちがないと、すぐに置いて行かれることになりかねません。
時代が時代だけに掛け売りのない業態であることは強みです。
3:できるだけオペレーションをシンプルに、日々味の追求と腕を磨いていく
反論される方もいそうですが実はシーシャ屋ほど属人性のない飲食店はありません。
オペレーションとレシピが安定していればある程度の水準のものは提供でき、成立する業態です。
しかし普段はおいしいと評判で人気のある繁盛店となったのにたった1回の仕入れミスや、フレーバー鮮度管理ミス、
スタッフの怠慢によりたまたまその日に訪れた人からはあのお店はうまくない、という評価をされてしまいます。
ミックスはもちろん研究の余地があるのですが、一番大事なことはおいしいフレーバーをしっかり選定して
鮮度と保管管理を行い、ブレのないオペレーションを行うことが大事です。またこんな基本的なことを書くのは
どうかと思うのですが営業時間を守れないシーシャ屋さんは多いです。きちんと営業時間を死守してください。
4:儲けは薄くとも、最初はできるだけ広い客層をとる努力をすること
客単価が高い高級店もありますが、最初からそんな値段でお客様がきていたわけではないと思うのです。
よく失敗談を聞くのは有名店の店員さんが自分の腕でこのお店は繁盛しているのだと勘違いし、
独立して似たようなコンセプトのお店を作り、最初だけはなじみの客がご祝儀で来店するがやがて閑古鳥になり
最後には閉店というパターンです。
5.午前15時位にオープンし、午後23時オーダーストップ位の労働時間で考える。
繁盛店は別として、通常シーシャ屋の勝負夕方から夜ですが繁盛するに従ってその前後も忙しくなるはずです。
健康を損なうと大変ですから、夜22時位のオーダーストップ位で考えた方が無難だと思います。
マニュアルで運営する大型店ならいざ知らず、始めたばかりの個人シーシャ屋であれば、オープン予定時間の前に来店されたお客様に、「オープンは15時からです。」等と無下に断らないで下さい。
「まだ準備中でお待たせしてしまいますが、それでご容赦いただけるのであれば、どうぞお入り下さい。」と入店させ、また、あれば「お飲み物くらいなら」と問いかけ、お客様が代金を支払おうとしたら「今日は早々から有難うございます。早々来店頂いて気分も良いし、代金を頂ける様な商品ではありませんから、無料でサービスします!」とお客様に貸しを作る位の度量を見せてみませんか。後日、そのお客様が大群を連れて押し寄せて来るのです。
6.知人に食品問屋や飲食店経営者がいれば、それを手掛かりにアイデアを練る。
他業種の常識はこちらの非常識だったりします。情報のアンテナは常にはっておきましょう。
7.出店場所の選定
これが一番難しい問題だと思います。
① 大規模ビルへの出店
まず初心者の間は、大家さんが官公庁や大きなビルの中への出店は止めた方が無難です。
相手の都合で振りまわされ、苦労するのが落ちです。空調費や管理費が高いと思われる時でも、こちらの事情など聞いてはくれません。どうしてもそこに入居したい場合は法人化し、法人として契約しておくと退出する場合に「居抜き問題で揉めることも無く」、「法人の経営者交代すれば済む」ので逃げ易いと思います。しかし、水道・ガス・電気の契約が割高であったり、その他出店に関する規制、休日の問題等々、小規模店には不利な要素が多いですから、できたら「一見良さそうな条件を提示されても」止めておくべきです。
② 国道筋への出店
その周りにはシーシャ屋が無いように見えても、いざ車で走れば競合が必ず存在し、それらは全部競争相手となります。リピートするまでの期間もかなり長いと考えた方が無難です。
それでもやりたい場合は、
1. 車のスピードが緩やかな場所。
2. 奥行きは狭いが間口が広く看板を見て、十分車のスピードが落とせる入り易い場所。
3. 見晴らしが良く(店舗が遠くから確認出来るの意味)、小さな看板でも存在を気づかせる事が出来る場所。
4. 渋滞が始まるとみるみる客足が落ちます。考慮して下さい。
以上の事を考えながら探して下さい。
③ 繁華街への出店
昼の繁華街は、敷金・家賃等も高く、味もさることながら価格競争も激しいし、知名度も必要と思われます。
初心者にはあまりお勧め出来ません。
福岡の中心部天神西通りなどを見ると、人通りは多いのですがブティック等案外入れ替わりが激しく、マクドナルド・吉野家等有名店ならいざ知らず、素人の手を出すような場所では無いと思います。
④ オフィス街への出店
オフィスビルの立ち並ぶ街は、昼間は行きかう人々も多く、お昼のお客様には困らないと思いますが、夜は案外静かなものです。家賃もそこそこの割には、土・日・祭日の営業には不利が付きまとうものです。
⑤ 駅周辺
駅によっても違うし、手頃な空き店舗があれば話は別ですが、駅前と駅裏では様子や客層がかな り違うようですから、出店前に十分な調査が必要です。
⑥ マンションと住宅、中小ビルが入混じった街生活道路に面した場所は、初心者向きかも知れません。
上手く行けば週末や日祭日に家族連れが望め、平日も会社関係のお客様が狙え、美味しいと評判がたてば、リピートする間隔も案外早い場所ではないでしょうか。
⑦ 私が出店する場合は?
立地条件が良く、家賃が安く等とこちらの都合の良い場所なんて、そんなに簡単には無いのが実情です。
出来れば少々道路の幅員に余裕があって納品のしやすいような場所、歩道に余裕があって、チョット自転車等が止められる、ゆったりした場所を選びます。そう言う場所が適地かと言えば、そうでは無く、あくまでもこちらの都合だけです。
店舗探しには無頓着なのですがその代わり「そこへどうやってお客様をあつめるか」「どんな仕掛けのお店にするか」と言う事に神経を使います。商品の販売等も考えられる方は、西向きの店舗は極力避けられた方が良いと思います。夏の西日は商品を痛め、レッテルの変色や、西日対策の日除け等で、折角の店舗が隠れてしまうなど、難題が増えるだけです。また、私の場合は実際店に出る訳ではないので採算に乗せるには立地以外にも解決しなければならない問題があります。
一つは任せる店長によってお店の運命がきまる事が多いという事です。私は、店長には経験者を求めず絶対に店長には起用したことがありません。なぜならば、一見集客につながりそうな「接客」と「シーシャづくりへのこだわり」とは矛盾する問題を含んでいるからです。特に小規模飲食店の場合は、お客様の側に立っての「接客」がリピートにつながるのではないでしょうか。今これを読んでいる皆様は、これから家族従業員のみで働く前提でお店を始めるのであれば、大儲けは出来なくても、そこそこやって行けるのもこの商売の特徴ではないでしょうか。
9. 店舗の作り方
実際に店舗の作り方を簡単に説明してみます。
① まず管轄の保健所へ出向き開業するための設備に関する条件を調べてくださ い。 条件には、手洗いの設置、客席に対する厨房の広さ等に条件が付く場合があります。
② 設計図を描いたら、「仮の看板を揚げましょう」もちろん手作りで、『何月頃シーシャ屋をオープン予定 ご近所の皆さん、オープンしたらサービスしますから是非来てくださいね。応援の程よろしく! 』くらいの事は書いておきましょう。
決して『旨いよなど!!』は書かない方が良いのでしょう? 判断を下すのはお客様ですから。
③ 内装には絶対金を掛けないで下さい。
金を掛けたから繁盛すると言うのなら、シーシャ屋など簡単な物です。
備品も使える物は家庭の物を使用し、家で使用するものを新しいものに買い
換えたと考えれば、その分お店には資金を掛けなかった事になりはしませんか。
金を掛けても高級店は別としても、お客様が来るとは考えられません。
100円ショップ等でも十分使用可能な備品は揃います。
④ 一番良いのは、自分が出来ない所だけ大工さんに頼み、後は自分で作るのが一番です。
⑤ 何故なら大工さんには、大工さんの誇りと常識があって、素人作りを許せない所があるのです。
言い換えると、素人が作ったようには作れないのです。
⑥ あまりにも、ピッタリと作られると、後々棚を一つ作りたくても、折角のバランスが崩れ
て、かえっておかしな店舗になってしまうのです。
⑦ 高級店を始める訳ではないので、最初から素人作りの様な店舗の方が後々都合がよいので
す。
⑧ お客様が見て噴飯しそうな店舗、『なるほど金がかかっていないな』とお客様に変な感心さ
せるような店舗は以外と受けます。内装を食わせるわけでは無いのですから、『店に金を掛けなかった分売価を安く設定しています』等と、説得し、『小奇麗なお店はどこにでもありますが、こんな店は希少価値があり
ますよ』等と宣伝すると、掘っ立て小屋だけど旨いお店が在るとの情報伝達が始まります。
⑨ ただし厨房や、衛生面には、最新の注意を払って下さい。
⑩ 初心者で始めるには、フロアー面積が大体10~15坪位が適
当ではないでしょうか?
11. 何故そんな店舗作りが良いのか
底辺の広い客層を狙うには、少々安っぽい作りでないと、綺麗過ぎるお店は敷居が高く、初めてのお客様にとっては入りづらいものです。またメニューを頼む時にも、お店の重厚な雰囲気にのまれて、もう一品頼みたい所を「何だか高そうな気がして」注文をやめてしまうのではないでしょうか。
支払いを気にしながら飲食しても、あまり楽しくないし、食った気がしないのは、私だけではないはずですw
お客様に「この程度のお店ならドリンクを頼んでも大した支払いではあるまい」と思わせると1品余計に注文を頂けるかも知れないし、リラックスして飲食出来る様に工夫を凝らした方が良策だと思います。また、外から店内の様子が全く見えないのは、少々入りづらい感があります。一度でも入店した事のあるお客様であれば気にもならないでしょうが、新規のお客様を掴もうと思えば、なるべく店内の明るい雰囲気が少しは見えるようにした方が得策だと思います。
電動のこぎり・インパクトドライバー・ドリルこれ位の道具を揃えると、一寸した棚やお店の改修等が、簡単に出来るようになります。お客様を待ちわびて居る時に、お店の営業に差し支えの無いように作業を進めると、万一お客様が来た時には、汗を拭い、手を洗いながら、「いらっしゃいませ」と微笑むと、何もしないでジットお客様を待っている時よりも、お客様にはハツラツとした好印象を与えられるものです。
12. レシピを作る。
いつも変わらぬ味を提供する為に、頻繁に使用するミックスは作り置きしておくと便利です。
またそのミックスが何時でも直ぐに作れる様に、オペレーションを明確にを決めておく事が大事です。
よく見る料理誌には○○を何㏄、△△を何g、××を大匙1杯等々と計量方法がまちまち且つあいまい過ぎるのです。
レシピを作るときは、全てグラム単位で計量して置いた方が便利だと思います。
現在は非常に使い易い、電子計量器が販売されていますので1g単位で計量できるものを使用されると良いでしょう。
日本のシーシャ屋さんはやたらとミックスしたがる傾向にありますが、基本は単品です。
単品で評価の高い有名どころのフレーバーを採用しましょう。そして味を覚えてください。わからなければ聞いて下さい。
13. オープン。
私が昔バーをオープンした時、友人・知人に多くの招待状を出しました。
1~2週間はそこそこ賑わったのですが、あとはパラパラの来客でお客様を応対していても、素面では笑顔も出ませんでした。お客様として見ていると非常に簡単そうに見えたバーでしたが、店内に入り接客するとなると、男にとっては非常に難しい仕事でした。投資した資金を、全て捨てても良いから1日も早く止めたかったのですが、友人・知人に派手に案内していたものですから、体裁が悪くて止められなかったのです。店舗に火を付けてやろうかと思った位です。
うまい具合に良い「ガール」を見つけ、あとは現場から身を引いて、大繁盛店になったのですが、この時から、オープンの案内や花輪等を貰う行為はやめようと心に誓いました。
友人や、知人は所詮お客様にはなり難いのです。
余程地の利の良い人なら話は別ですが、わざわざ来てもらっていると考えると、気の毒で気疲れして商売どころではありません。
また、前述の様に格好悪くて、簡単に止める訳にも行かないのです。
嫌だから止めるのではなく、繁盛しない理由、条件がハッキリしていて、これ以上継続すると赤字が膨らむ事が明確に確認出来た時には、残念ですが早々に撤退を決断せざるを得ないのです。
そんな時に友人・知人に体裁が悪く躊躇すると撤退が遅くなり、大きな借金を背負い込む可能性があるのです。
そのような事を回避する為にも、一般客で勝負することを考えた方が良さそうです。
繁盛した暁に、友人・知人に知らせれば、気分も良いのでは無いでしょうか。
私の場合はオープン日も、セレモニーも一切致しません。開けたい時がオープン日で、当然お客様もあまり入りません。
ただ準備万端整えた積もりでも、不都合な設備や、受け入れ態勢が整っていない箇所が多々ある物です。
来客には分からない様に、そんな部分を修正し、一度来店したお客様は絶対逃さずリピートさせる事だけを考えるのです。
態勢の整ってない時に、大勢のお客様に来られると、絶対サービスの行き届かない場合が必ず出てきます。それは悪評となって、リピートを妨げる要因になるのです心して下さい。
繁盛はボチボチ、1を2にし、2を4にする、口こみ宣伝が飲食店には一番だと思います。
繁盛しない間は必ず、食材(シーシャ屋の場合はフレーバー)の回転が悪く、もったいないからと、古い食材を使いたくなりますが、古くしない工夫をし、それが出来ないなら単純に家へ持ち帰り、自分で食べることです。
この時期が飲食店経営での、一番の難所だと思います。ここを乗り切れば、後は成功したようなものです。
しかしここでチョイト目先を変えて、逆転の発想で切り返すと「ピンチの後にチャンスあり」で面白いヒット商品が必ず出来るのです。
ここは仕入れと密接な関係がある重要なポイントです。
自分でメニューを考えて仕入れをするとマンネリ化して、成長が止まってしまいます。
仕入れ業者に、あまって売り切れないものを持ってこらせ、何とか工夫して新商品をあみ出す訓練は絶えず必要な事なのです。これを乗り越えた時、『飲食店をやっていて良かったな』、と言う喜びが沸いてくるのです。
物理や化学は理解出来ない頭脳でも、これ位の事は、我々凡人にも出来る筈です。
頑張りましょう!
弊社Cyberchillではシーシャ屋の開業支援を行っています
弊社Cyberchillではシーシャ屋の開業支援、コンサルを行っております。
主に手助けできる内容としては以下になります。
1:弊社お取り扱い商品の卸売り
2:シーシャ屋開業支援
系列実店舗の出張販売免許を貸し出せます。費用は月額2980円です。輸入用小売用と2種あるのでお取り扱いできないブランドはなく商品は今後も増やします。
3:オペレーション指導ご相談
コンカフェ寄りの店舗も出現しメイドも作れるのを見る限り誰でもできるように思えます。
しかし実はシーシャは技量の差がかなり出ます。他店をみてもワンオペ店主の方が明らかに美味い傾向があるのは量が質を担保していると言わざるを得ません。弊社は年間に2千本以上作っている技術者がおり、最新ギアやフレーバーの入手も早く試行錯誤をしていますから一歩進んでいます。ノウハウ提供可能です。置いておくべき定番フレーバーの提案からコンセプトに合わせたメニュー表の提案もできます。
4:輸入代行/自社ブランド製品構築、名入れ、OEMのコンサルティング
※提案も可能ですが相手国、企業を指名して頂ければ交渉します。
ブランド名や店舗名を刻印したギアがあるだけでブランディング力が違います。
5;開業における手続相談/税務相談
顧問弁護士/税理士のバックアップの元、当社がもつ知見からのアドバイスを致します。予算を抑えてギリギリの開業の際の保健所の検査の勘所もご教示します。
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今回の記事を見て、シーシャ屋を実際に開業したいとお考えの方は是非一度ご相談ください。
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